■Counselor Robe




「Hello!何かお困りのことはありませんか?」
ブリタニアに来てまだ数時間。
右も左もわからない俺に青いローブの女が話しかけてきた。
「アンタ誰?」
「私はカウンセラー。ブリタニアに移住されてきた方々のサポートをするのが役目です。」
なるほどシステム側の人間ということか。


大量のチョコバナナをむさぼる手を止めそのカウンセラーを観察する。
すっぽりと頭までかぶった青い小奇麗なローブが他のプレイヤーとは明らかに違う。
「そのローブいいね。貰えない?」
「これは替えを持ってないので申し訳ないですができないんですよ。」
「んじゃ俺の服やるからさw」
「そんな、殿方の前で着替えるなんてはしたないことできません!」
ありゃ。女だったのか。見分け付けにくいな。
フードで顔の半分が隠れていて、美人かそうでないかもわからない。ううむ詰まらん。
「ローブはあきらめるからせめて顔拝見させてくんない?」
「それくらいでしたら…」
そう言って彼女はフードを下ろしてくれた。
少しタレ目がちの大きな瞳が美人というよりあどけなさを残していてかわいい。
なかなかの俺好みだ。これは是非ともローブを脱がさなくてはなるまい。
しかしガードは堅そうだ。さてどうしようか。
「他にご質問などはございませんか?」
「あ、ああいいよ。ありがと。」
「でしたら私ヘイブンを見回りして参りますので。」
「またね」
「*smile* 失礼します」
彼女が後ろを向いた瞬間。チャンスだ!!と体が動いた。
「神風の術!!」
すばやく身を屈め、青い布の端を手の甲でめくりあげる。いわゆるスカートめくりというやつだ。
子供の頃、スカートめくりをこう呼ぶマンガに影響されてよく女子を泣かせたものだが
いい年してブリタニアに来てまでやることになろうとは。
「きゃあああああ!」
「え?えええ?!」
カウンセラーの悲鳴と俺の驚愕の声が重なる。
はいてない。何を?
…下着を。
俺の目の前には無粋な布で隠されていない、丸い形のいい尻そのものがあった。
てっきり普通の住民と同じく白い下着をつけていると思っていた俺は固まってしまった。
「…見ましたね。」
顔を真っ赤にして泣きそうな顔で俺を睨む。股間まで硬くなりそうだ。

「何ではいてないの?」
「その質問には私たちカウンセラーはお答えできません!!」
「ハァ?」
「この件に関しては他言無用でお願いいたします。」
いやこんなこと話のネタにするなって言うほうが無理。
「タダで口止めってないんじゃない?ほらこういう場合は交換条件でないと。」
「特定の住人のみが優遇される措置はいたしかねます。」
「そういう堅苦しいことじゃなくて。ぶっちゃけ一発させてくんない?」
「……。」
うつむいたままカウンセラーは黙り込んでしまった。煮え切らないな。もう力ずくで押し倒すか!
飛び掛かった瞬間目の前が真っ暗になった。
「な、何だ?!」
暗闇の中で俺は勢いで体を打ち付けてしまった。目が慣れてだんだん周りの風景が見えてくる。
岩壁にポツンと燭台がありそのろうそくの火だけが頼りない明かりになっている。
「Hello」
「む?アンタは?」
さっきの青いローブのカウンセラーと違い今度は赤いローブの奴が現れた。
「私はGame Masterです。カウンセラー職より多くの問題に対応しサポートする者です。」
「でそのGMさんが俺に何の用?」
「残念ながらあなたのアカウントを24時間停止処分とさせていただきます。」
「はああ?!なんだそれ」
「カウンセラーへのハラスメント行為として先ほどのカウンセラーとの会話のログを取らせて頂きました。」
「ハラスメント…?セクハラってことか?ゲームなのに!!」
「ゲームでもこの世界のプレイヤーは皆同じ人間ですから、ハラスメントとして罰則を受けることもあります。」
もっともだが…しかし
「セクハラは悪いと思うがさ、あんたもローブの下は素っ裸?これ他の奴にしゃべるなって方が無理だろ!」
「そのことについては他言する意思があるというのなら永久にアカウント停止処分とさせて頂きます。*Smile*」

こいつ脅迫しやがる!
「やるならやりやがれ!俺はこの事実を他の奴にも伝えるぜ!」
「…そうですか。では残念ですがあなたのアカウントは永久に停止処分とさせて頂きます。」
*** the Game Master kicked you.
表示が出て俺はブリタニアを追い出された。



しかし正気になった今思う。
はたして奴らがローブの下は裸だということはアカウント停止をされてまで皆に伝えるべきネタだっただろうか、と。
俺は新規アカを作るため公式のアカウント作成ページへと急いだ。





※この話に出てくるCSLやGMはすべてフイクションです。
もちろんこんな速攻問答無用でアカバンとかにはなりません。
あくまでもネタ創作です


Alice Liddell

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