■2003 Holiday Gift


やあ、アンタ今暇かい?
ちょっと俺の話に付き合ってくれよ。
誰かに話さないと気が済まないものでね。


俺には妹が2人いてね。兄妹で今年の夏にブリタニアにやって来たんだ。
当然去年のホリディギフトは持っちゃいない。
ホリディツリーが解禁されてもお隣さんのツリーを見てヨダレを垂らすしかなかった。
でもそれも今年のサンタが来るまでの辛抱だと思ってたのさ。
だけどどうだい?今年のサンタは。妹たちは箱を開けたとたん言ったんだ。
「ツリーがない!」
慌てて俺も箱を開けてみたら中にはスノーマンとスノーフレーク、
そしてツリーではなくリースの権利書が入っていた。
へぇキュートじゃないかコイツはイカスぜ。
だけど妹たちはツリーがないのがショックだったらしい。
サンタを大声で罵倒しだしたんだ。
うちの妹は双子だから、ステレオで騒がれるとまるで壊れたスピーカー!
俺はすっかり弱っちまって言ったのさ。
「かわいい妹たち、スノーマンを見てみなさい。
サンタはツリーの代わりにお前たちに超クールなボーイフレンドをプレゼントしてくれたんだ。
感謝するべきじゃないのかい?」
上の妹の、ミミーはそれを聞いて言うんだ。
「兄さん、私抱き合って冷たいボーイフレンドなんていらないわ。」
まだ子供だと思ってたから面食らっちまったよ。
追い討ちをかけるように、下の妹のミニーは
「兄さん、ツリー買ってよ!ムーングロウの雑貨屋さんで10万gpって広告出てたよ!」
こうおねだりをはじめる始末。まったく兄貴も楽じゃないね。
「ミニー、少し前にこのマイホームを買ったばかりだろう?
うちにはもう、そんな余裕はないんだ。」
ブリタニアも住宅ローンがあればもうちょっと暮らしも楽になるとアンタ思わない?
ん?リアルだけでなくブリタニアでまでローンに追われるのはごめんだって?
ははは、そうだな言われて見ればローンのためにモンスターと戦う戦士なんて滑稽だ!
でさ、話の続きだよ。ミミーがその雑貨屋の広告を見て言うんだ。
「いいわ、私が買ってきてあげる。」
「おやミミー、貯金でもあるのかい?」
「お金?ないわ。貰えるように交渉してみるのよ。」
ミミーはふがいない兄貴にかわって意地でもツリーを手に入れるつもりみたいでさ。
だけど交渉だって!バカげてると思わないかい?
貧乏人は帰ってクソして寝ろって追い出されるに決まってるよ。
「まあ見ていて。」
そう言ってミミーは反対する兄貴の意見も聞かずに出かけて行ったんだ。
残された俺とミニーは顔を見合わせた。
「うまくいくと思うかい?」
「思えないわ。ミミーが泣いて帰ってきたらなぐさめてあげましょうよ。」
「俺もそう思っていたところさ。」

しかし帰って来たミミーを見て俺とミニーは目を丸くしたね。
ミミーの手にはツリーの権利書がしっかりと握られていたんだ。
泣くどころか満面の笑みさ。
「ミミー、あなたすごいわ!一体どう交渉したの?」
感激したミニーがミミーに抱きついて聞いたんだ。そしたらさあ、なんていったと思う?
「簡単よ、あそこのオーナーはスケベで有名なんだから。」
ああ、もうなんということだろう!
アンタにわかるかい?この気持ち。
女の子は早熟だっていうけどさ、これって熟しすぎじゃない?
それを聞いた片割れのミニーなんて顔を真っ赤にしてうつむいちゃったし。
どうして双子なのにこうも違うかね。
俺はもう呆れてしまって皮肉をこめて言ってやったんだ。
「オーナーが男でよかったな。」
そしたら少し考えてミミーは
「そうね、私女はあまり得意じゃないわ。」
…もうお手上げさ。
まったく我が妹ながら末恐ろしいよ。
アンタもさあ、気をつけたほうがいいぜ。
ピュアに見えても女ってのは油断ならないよ。十分気をつけような、お互い。

え?妹を紹介して欲しいって?
うん、じゃあ紹介料として1万gpいただこうか?




Alice Liddell

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